夜間の耳痛あせりますよね。翌日には必ず耳鼻咽喉科を受診することを前提にまずは鎮痛解熱剤 カロナールなどを内服していただいて大丈夫です。葛根湯も首から上の痛み(頭痛、中耳炎、頸部リンパ節炎、肩こりに効果あります)にきくのでいざというときに役立ちます。
急性中耳炎 耳の奥にある中耳という場所の感染によって起こります。症状は耳の痛みや圧迫感、聴力の低下、耳からの分泌物(膿)、発熱などです。幼児や乳児の場合は症状をうったえられないので不機嫌、食欲不振、寝つきの悪さ、発熱、きにしてさわる(泣きながらる)等に注意が必要です。耳たぶを引っ張っても痛みが変わらなと急性中耳炎が示唆されます。治療には 痛みに関しては鎮痛剤の投与を行います。日本耳鼻咽喉科学会が提唱する中耳炎スコアで中等症以上の方には抗生剤を投与します。
急性炎症の結果鼓膜の向こう側 中耳腔に膿がたまることがあり痛みがなくなっても難聴が残ることがあります。2か月程度で吸収されればよいとされ2,3週間で治癒することが多いです。
時に滲出性中耳炎 慢性中耳炎に移行することがあり完治したのを確認する必要があります。
右は正常鼓膜 透き通って見えています。左は急性中耳炎 赤くなり、膿がたまっているため腫脹しています。ここまでくると鼓膜切開が必要そうです。
急性外耳炎 耳の入り口(外耳道入口部)から鼓膜までの外耳道の急性炎症です。細菌、ウイルスの感染でおきますが時にアレルギーで起きることもあります。
症状は耳の痛み、耳膿、かゆみ、時に聴力低下、つまり感などがあります。治療は痛みに対し鎮痛解熱剤や抗炎症薬、抗生剤の点耳薬、内服の抗生剤が必要なこともあります。
慢性中耳炎 急性中耳炎が治りきらずに長時間炎症が続いたため鼓膜に穴が開いてしまい慢性中耳炎となります。鼓膜に穴が開いているため容易に細菌感染を起こしやすく耳漏、耳小骨周囲の炎症、耳小骨の動きの悪化をきたします。そのために徐々に難聴が進行し、さらには内耳にまで影響を及ぼしめまいが出現することもあります。治療としては抗生剤の点耳、内服などで一時的に軽快します。根本的な治療としては手術が適応です。その程度により鼓膜穿孔閉鎖術、鼓膜形成術、鼓室形成術が選択されます。関連病院への紹介をさせていただいています。
癒着性中耳炎 慢性中耳炎の一種です。耳管機能の低下により中耳腔が陰圧になり、鼓膜がへこみ薄くなり中耳腔の内側壁と癒着した状態です。耳の機能として中耳腔が存在することが大事なのですがこの欠損によりだんだん難聴、耳閉感が進行する可能性があります。治療は耳処置、点耳薬などの保存的治療、経過によっては手術療法が必要となります。
真珠腫性中耳炎 鼓膜表面の皮膚の部分が鼓膜の裏側に入り込み炎症を起こすことにより起きる病気です。鼓膜内に塊ができてこれが真珠にみえるのが名前の由来です。周りの骨を溶かし破壊するように成長するので難聴、耳漏などの初期症状からめまい、ひどくなると髄膜炎などを起こすことがあります。放置すると進行する病気で治療は手術が基本です。程度により摘出術、鼓室形成術がその程度により選択されます。まれに先天性真珠腫もあるため小さいお子さんにもありうる病気です。
滲出性中耳炎 鼓膜の向こう側 中耳腔に体から出てきた滲出液が溜まり聞こえが悪くなる病気です。痛みはありません。
中耳腔はお鼻の奥 鼻咽腔と耳管でつながって換気されています。耳管機能が低下すると中耳腔からの排泄がうまくいかなくなり滲出液がたまり音の振動がうまく伝わらなくなり結果難聴となります。耳管機能の低下が原因であり高齢者と幼小児に多く見られます。幼小児のばあい扁桃腺、アデノイドが生理的におおきいため、炎症を繰り返しやすく耳管を圧迫しやすいのが原因です。長い経過では鼓膜が陥没し癒着性中耳炎、慢性中耳炎に移行することがあります。
いたみがなく、難聴のみのことが多く幼小児の場合症状に気が付きにくく注意が必要です。TVの音を大きくする、呼んでも返事しない、こえがおおきくなってきたなどに気が付かれたら耳鼻咽喉科を受診し鼓膜の確認をすることが必要です。
治療は鼻の状態をよくする、耳管通気で耳管に空気を送る、内服治療などの保存的治療から経過によっては鼓膜切開術(鼓膜に小さな穴をあけて滲出液を出す)鼓膜チューブの挿入、アデノイド切除による耳管機能の改善を行います。
滲出性中耳炎は治療に抵抗して長引くこともありそうかと思えば急に短時間で軽快したりする病気です。治療には根気が必要ですが放置すると癒着性中耳炎、慢性中耳炎に移行することもありしっかり治療することが必要です。
滲出性中耳炎 鼓膜の向こう側に液体がたまり空気の泡も認められます
鼓膜チューブ挿入後 治療のためにこのようにチューブを挿入することもあります
外耳道真菌症 耳の入り口から鼓膜までの外耳道に真菌いわゆるカビが生えてしまう病気です。耳の耳のいじりすぎでバリア機能が低下するのが原因です。症状は耳のかゆみ、痛み、菌塊による耳閉感、難聴などです。治療は耳処置により洗浄、除去、抗真菌薬の内服、点耳です。再発もしやすいので耳をいじらないように気を付けましょう。